こちらはイングーシ共和国首長庁舎。この周辺に役所が集まっている。
その向かいに巨大な塔がありけり。合意の塔Башня Согласия、あるいはマガス・タワーと呼ばれるものとのこと。支店の方々はシンプルに「バーシニャ(塔)Башня /Bashnya」と呼んでいました。山岳部にある伝統的な塔を模倣&巨大化し、2013年に建てられたもの。内部はイングーシ文化を紹介する民族博物館になっています。世界の民族博物館で最も高い建物で、99 m 99 cmあるのだそうです。
ぴったり100 mでないのは、塔専属のガイドのおっちゃん曰く、イスラム教由来とのこと。曰く、「99で、100に1足りないのはなぜだと思いますか?イスラム教では『神には100には1足りない……』というのがあって~」と言っていたのですが、「…」以降がよく分かりませんでした。ただ、あとで他の文献をネットで探すと諸説あることが判明。おっちゃんと同じ説明はありませんでした。100m以上は建築基準的に技術要求が厳しくなるから、という説明はネットにありました。また、そもそも、塔の高さは100mとか、99m97cmとか書いているものもありました。
近くには「親切なベンチ」と刻印されたベンチあり。充電できるからということでしょうか。
早速、塔の中に入ります。入場料は100Rなり。1階と2階部分は伝統的なイングーシ人の生活様式を再現したコーナー。
イングーシでは、窓のある家は、窓を製作しはめ込む手間をかけられる、比較的裕福な家庭だったそうです。博物館の構造上、この窓は室内側を向いているのですが、本来はちゃんと外向きに設置するそうです。壁に張られた絨毯はこの地方伝統のフエルトで作られたもの。
鍛冶屋は工具の製造に不可欠な存在だったので、村では尊敬される仕事だったとか。
こちらは羊飼い。影が落ちて見えにくいのですが、先端がくの字型になった棒を持っています。脱走しようとする羊がいると、脚にこの棒を引っ掛けて捕まえていたんだとか。ちょっと不気味。
塔の中で一番立派な部屋は客のために使われたものとのこと。
この地域はおもてなし精神が強く、来客があると3日間は何も言わず泊めてくれ、最高のもてなしをしたのだとか。逃げてきた人であっても、泊めてもらっている間は追手が塔に入ってくることはできなかったそうです。ちなみに3日を超えて宿泊すると「もう客じゃない」という認識になるそうで、どこから来たのか、何をしているのか等、質問してよくなるのだとか。塔のガイド氏曰く、こうや君がイングーシに一人で来たとしても、誰か泊めてくれるから野宿せずに済みますよ、とのこと。いや〜ありがたいことです。世界を敵に回してもここに来れば三日は生き延びられますね。
ついでに、この地のホスピタリティを表す逸話を教えてもらいました。その家で誰かが亡くなったその日に来客があったときは、遺体を隠し、何事もなかったかのように客人をもてなし、客人がその家で不幸があったことを気づかせないようにしたのだそうです。
なお、この塔は地上85 mに展望台があるのですが、見学者は徒歩でたどり着かねばなりません。らせん状の廊下をひたすら歩いて登ります。全長1700 mだそうです。途中、昔サンシャイン60を階段で天辺まで昇ったことを思い出しました。
途中の部屋に立ち寄りました。
この地域は合議制だったそうで、このように部族の代表者が集結し、話し合って問題を解決していたそうです。話し合いは結論が出るまで続けられたとのこと。
さらに上っていくと、塔の中にはこのようなカフェがあります。この日は誰もいませんでした。
ようやく展望台にたどり着きました
。
いやあ、昇ったカイあり。
右奥のモスクは現在建設中。完成すれば、見所がまた一つ増えますね。
目線を右に移していくと……
草原が広がっています。雲が晴れるとコーカサスの山脈が見えるのでしょう。
実はこのあと、下りで疲れてしまい、体はボロボロに。先ほどまで宿で寝込んでしまいました。明日から大丈夫だろうか。もう若くないことを痛感。
出張中でもブログを更新していただきありがとうございます。ご無事で何よりです。
返信削除死者の町はコロナ禍によりもっと注目されるべきですが、コロナのせいで外国から訪れるのが難しいという矛盾。遺骨がそのまま残されているのも凄いです。
ロシア人も来客をよくもてなすと聞きますが、この地域はそれ以上ですね。もっと観光開発されてもいいはずですが、地元の人はあまり望んでいないのかな?
続きも楽しみにしています。