2020年8月31日月曜日

フェラポントフ修道院への旅(モスクワから列車とバスで)①(準備編)

 過去の旅の放出シリーズです(昨年11月)。ヴォログダ州にフェラポントフ修道院Ферапонтов монастырь/Ferapontov monastyrという古刹修道院(開基は14世紀末のはず)があります。世界遺産にも登録されています。ロシア北方修道院建築の中でも保存状態が良く、1502年に描かれた聖像画の壁画が残されています。
 

 ここは以前から行ってみたいと思っていましたが、ヴォログダВологда/Vologdaの先がなかなか行きにくく、今まで敬遠してきました。今回、本腰を入れてリサーチしましたが、なかなか大変でした。


 モスクワからヴォログダには、21:50-5:57の列車があります。復路は20:12-04:46と21:21-06:23がありますが、後者だと帰宅時に地下鉄にすぐ乗り継げます。

 フェラポントフ修道院に行くには、ヴォログダから8:10発のペトロザヴォツク行きのバスに乗って修道院のあるフェラポントヴォ村で10:18に下車するのが楽です(火曜日以外運行)。同じ路線の復路は17:13-19:30(水曜以外運行)。旅の計画は11月。17時台は暗くなっているだろうなあ。しかも吹き曝しの中で寒さに耐えてバスを待つことになるでしょう。

 ほかにも、ロシア人の旅行ブログを読むと、キリロフКириллов・Kirillovからフェラポントヴォに移動したという情報がありました。キリロフにも1397年に設立されたキリロ・ベロゼルスキー修道院(フェラポントフのいわば兄修道院)が残されているのです。15~17世紀にはロシア最大級の修道院でした。せっかくなので、ここも見てみたい。



 ヴォログダ→キリロフは始発が7:00-9:45。それ以降も数本あります。しかし、復路のキリロフ→ヴォログダが検索しても見つかりません。行きのバスがあるのだから帰りもあるだろうと考えられますが、問題はキリロフの出発時間ですね。行ったバスが戻るのだとすれば、見学時間を確保し、ヴォログダ発の夜行列車に間に合う時間帯に出るものも高確率でありそうです。

 それからキリロフ―フェラポントヴォ間は、時期・曜日によってローカルバスがあるようなのですが、この時刻表の最新版がどうしても見つかりません。キリロフ-フェラポントヴォ間は約20キロ。タクシーで移動できる距離です。フェラポントヴォにはタクシー会社がないようなので、乗るならキリロフで乗車し、修道院で待機してもらい、再びキリロフに乗って帰るのが良さそうです。



 これは車のルートですが、キリロフの町中にあるバスターミナル(地図の赤丸位置)から出るローカルバスも似たようなルートをたどります。

 ちなみに、ヴォログダ→フェラポントヴォ→ペトロザヴォツク行きのバスは、フェラポントヴォの手前で「キリロフへの曲がり角Кириллов-поворот/Kirillov-povorot」というバス停に停車します(上の地図の青星の箇所。進行方向によって停車場所が3か所に分かれています)。キリロフの町と約15キロ離れているものの、町からここまで歩いて修道院行きのバスに乗車した強者もいるようです。すごい。

 フェラポントフ修道院の最寄りバス停はここです(青星)。


 ほかにはヴォログダ発着の日帰りツアーが催行されているようです。公共交通機関が利用できない場合、これを利用するのも手ですね。

 さて、暫定プランですが、ここまで決まりました。
 モスクワ21:50→ヴォログダ5:57
 ヴォログダ7:00→キリロフ9:45
 キリロフ-フェラポントヴォ往復(現地で時刻表をチェック、バスがなければタクシーで往復)
 キリロフ→ヴォログダ(現地で時刻表をチェック)または、フェラポントヴォ17:13→ヴォログダ19:30、
 ヴォログダ21:21→モスクワ06:23

 どんなに調べてもこれ以上の情報は見つけられなかったので、あとは行ってみるしかありません。行きのルートはほぼ明らかになったので、帰りもきっとあるはずと信じ、決行日を迎えました!

2020年8月27日木曜日

スヴィヤシスクへの旅(モスクワから列車とバスで)②(実践編)


 前回は時刻表を調べたので、今回は実践編です。

 夜行列車でモスクワМосква/MoskvaからカザンКазань/Kazanに出ると、10:30発のスヴィヤシスクСвияжск/Sviiazhsk行きに十分間に合います。モスクワから到着した朝のカザン駅。


 カザン駅は建物がいくつかあってかなり広い。長距離列車のプラットフォームから近郊列車のホームへ移動します。


 近郊列車のチケットは端末機で購入可。もちろんカードも利用可。



 10:30の出発まで時間があるので、朝ご飯を探しに出かけます。駅前に朝から営業している大衆食堂がありました。その名も「親切な食堂Добрая столовая」。平日は7:30、休日は8:00から。この日も多くのお客が続々と朝食を取りに来ていて、混み合っていました。


 かなり寒かったので、朝から温かなスープが食べられるのがありがたい。これで100Rくらい。味も悪くなかった。


 さて、近郊列車で出発。


 スヴィヤシスク駅は駅舎が新しく、出口にはチケットをかざして通る改札口があります。


 ミスしました!人の流れに乗って外に出たところ、博物館行きのバス乗り場はこちらではなく、駅舎の反対側にあることが判明。駅舎と線路を超える自由通路(歩道橋ですが)があるので、急ぎ足で向かいます。歩道橋の上に表示がありました。


 閑散とした路上に1台のバスありき。これに乗って博物館へ。


 終点が博物館です。右下の建物がチケット売り場なので、まずはここへ。


 半島内にある施設は生神女就寝修道院Богородице-Успенский мужской монастырь、前駆者イオアン修道院Иоанно-Предтеченский монастырь、至聖三者聖セルギイ修道院Троице-Сергиевский монастырь、スヴィヤシスク歴史博物館、考古学博物館など、かなりの数があります。チケットは施設ごとに設定されていますが、できるだけたくさん回りたい場合は共通パス660Rが便利です。ホテルやカフェ、お土産屋さんもありますが、冬だからか、ほとんどが閉まっていました。

 敷地の広さは一日あれば十分に回れる程なのですが、考古学博物館は正時ごとにエクスカーションがあるそうなので、真っ先にそこへ向かいます。

(考古学博物館の外観、博物館HPより)

 ここで発見された遺構が展示されています。このフロアの床面には段差があり、一番低いところが16世紀、中位が17世紀、一番高い段が18世紀。城塞の中には戦いに臨む人々が住むだけでなく、生活を支える町が形成され、市場や職人の工房もありました。16世紀に建てられた当時は、城塞内の町の規模はノヴゴロドやプスコフ、モスクワといった当時の大都市に匹敵するほどだったとか。本当かなあ。


 一番奥には発掘されたものをクリーニングする研究室も。素敵な職場だなあ。


 生神女聖像画大聖堂(20世紀) 


 こちらはトロイツカヤ教会(16世紀)


 コンスタンチンとエレーナ教会(16世紀) でもこの建物自体には18世紀の部分もあるようですね。


 赤いレンガ造りの建物は地元のアーティストの絵画を展示したミュージアムです。この日は-7℃でしたが、子供たちは元気。


 一番の見物はこちら。生神女就寝修道院のウスペンスキー聖堂とニコリスカヤ教会(16世紀)です。本当はここの内部を見学したかったのですが、5月のシーズン開始までは閉まっていました。残念ですが、また来ようと思います。


 スヴィヤシスクはスターリン時代に収容所が置かれ、多くの政治犯が強制労働を課せられた場所だったとのこと。当時の人々の生活を再現した博物館もあります。島内にはこんな記念碑がありました。鉄格子から外を覗く人。


 余談ですが、この島はお猫様が多かった。観光客を怖がらず、たくさんのネコが傍に寄ってきました。人慣れしてますね。




 来た時と同じバスで駅へ。歩道橋を渡って駅舎に入り、チケットを購入。こちらもカード払い可でした。


 この後、再び夜行列車でカザンからモスクワへ。駆け足の旅となりました。思い返せば、この頃はまだコロナ禍は到来せず、平和だったなあ。

2020年8月23日日曜日

スヴィヤシスクへの旅(モスクワから列車とバスで)①(計画編)

 日本から戻ってきた上司の話を聞く限り、町中でのマスク着用率は圧倒的に日本の方が高いとのこと。まあ日本はお上や社会の圧力は圧倒的につよいので、右向け右といわれればその通りにする人が多そうですよね。まあお上(権力)はロシアでもおっかないものですが。

 さて、今回は書きかけだった記事の放出シリーズです。コロナ流行前の20202月に行ってきた正教の聖地スヴィヤシスクСвияжск。モスクワからは結構距離があります。タタルスタン共和国の首都であるカザンКазаньのちょい手前ですからねえ。

 スヴィヤシスクはヴォルガ川に浮かぶ「島」(本当は半島)を指します。砂州のような道路でたどり着いた島の手前半分は高い土塁で囲われた「町」になっており(恐らく近世の町の名残?)、奥の先端部には港(カザン行きフェリーが出ている)があります。

(写真はウィキペディアより)

  1551年、イワン雷帝Иван Грозныйがタタール人との戦いでカザンに進軍したとき、わずか4週間という驚異的な早さでスヴィヤシスクに要塞を建てたと言われています。その秘密はウグリチУгличで予め城塞を木材で作り、分解してヴォルガ川から流し、スヴィヤシスクで回収して建築したため。なんだか、戦国時代の秀吉の一夜城のような話です。16世紀に建てられたウスペンスキー聖堂はユネスコの世界遺産に登録されました。半島では発掘作業が進められていて、16世紀からの遺構を展示する博物館もあります。

 

 モスクワから行く場合、カザンが拠点になります。


 

 カザンから公共交通機関で行く場合、陸路で近郊列車やバスを使う方法(赤ルート)と、ボルガ川をフェリーで移動する方法(青ルート)の2種類があります。僕は近郊列車でカザン駅からスヴィヤシスク駅まで行き、そこからバスで終点の博物館まで向かいました。バスは近郊列車の発着時間に合わせて運航されています。

 

・カザン駅~スヴィヤシスク駅 近郊列車 運賃76R

往路 10:30, 12:35, 13:48, 14:27

復路 14:17, 16:44, 17:06, 18:02

 

・スヴィヤシスク駅~博物館・保護区域музей-заповедник バス(20191025日改正)

(運賃は失念しました。すみません

往路 12:10, 14:10, 15:45, 17:10

復路 13:30, 15:10, 16:25, 17:30

 

 また、土日祝日はカザンから直行バスもあります。

カザン発8:40、スヴィヤシスク発14:30、運賃150Rなので、こちらも便利かもしれません。

 

 水路だと、定期フェリーと高速船の2種類があります。


・フェリー(毎日) カザン発9:00、スヴィヤシスク発15:15

 運賃(片道)127R、所要時間22.5時間 

・高速船 (金土日)カザン発8:30 スヴィヤスク発12:00

         (毎日)カザン発13:30 スヴィヤシスク発17:00

 運賃(往復)700R、所要時間40

 

カザンからの直通バスとフェリーについては、博物館公式HPに掲載されています。

https://www.ostrovgrad.org/contacts

 

 

 

 

2020年8月19日水曜日

モスクワ・コストロマ間にラストチカ号設定(から一ヶ月)

  ニュースを見て知ったのですが、いつの間にかモスクワ・コストロマ間でラストチカ号が設定されてから一ヶ月が経ったとのこと。設定自体を知らなかったものでちょっと驚き。時刻はモスクワ・ヤロスラヴリ駅1510発、コストロマ到着1917。それからコストロマ発0712、モスクワ到着1119とのこと。因みにニュースでは、この一ヶ月で二万人強が利用したとのこと。

 開設時のコストロマ駅での盛り上がりの様子が出ていましたが、マスクをしている人は殆どいませんね。

 因みに三日前に今の上司が日本から戻ってきました。日本でPCR検査を受け、機内では検疫アンケートを受けたものの、居住者扱いだったのでその後は特に変わらずに入国出来たとのこと。ただ、同乗していた技術者、専門家たちは入国審査でストップがかかり、どこかに案内されていったとのことでした。

2020年8月9日日曜日

サマラ・ペテルブルク線の乗車時間が半分に!

  8月21日から、サマラ・ペテルブルクСамара- С. Петербург線の所要時間が半分になるとのこと。これまでニジニ・ノヴゴロドのモスクワ駅経由で39時間かかっていたのが、サマラを出てすぐ西に向かい、ニジニ・ノヴゴロドを経由せずにペトリャエフカ経由になるとのこと。そっか、ヴォルガ川を真面目に東側から通るのとでこんなに差が出るのか、と驚きです。

(googlemapよりサマラ駅)

 それと、最近はロシアに戻ってくる外国籍の方もいますが、どうもシェレメチェヴォАэропорт Шереметьевоに到着後、基本的には公共交通機関での帰宅はナシで、との話を小耳に挟みました。誰かに迎えに来てもらえないと、隔離されるとのこと。情報が錯綜しているので真相は不明なのですが、ロシアの飛行場に到着した後のことは注意しておくべきかと思います。

2020年8月4日火曜日

クルスクのバスターミナル、改善されるかも・・・

 鉄道駅から谷を越えた場所にあるクルスクのバスターミナルKurskii avtovokzal。あまりにもゴタゴタして、かつボロボロなので住民から知事に補修・工事の請願があったとニュースでやっています。ただ、ターミナルの建っている土地が国有地やら私有地やらが入り交じっているらしく、具体的に話が進むのは先になりそうです。
 僕がお世話になったのは一度だけですが、結構よく覚えています。ただ、ターミナル内のことよりも、鉄道駅まで遠いので、多くのタクシードライバーと交渉したことを覚えています。
 
(Googleマップより)

2020年8月2日日曜日

列車本数の復活に向けて

 ロシア鉄道のトップ、ベロゼロフ氏がコロナ危機で50-60%まで減ってきている列車の本数を復活させるとのこと。長距離列車については180本ほどの復活を考えているとのこと。
 更に詳しいことは何も言っていませんが、かなり減ってしまっているので、列車を早く増やしてほしい、とは思います。とはいえ、それで感染が広まらないかというあたりは心配です。

アルメニア編その2 エレバン探訪(part2)

漬物屋。キャベツ丸ごとがでかい。 スパイス各種。 野菜コーナーにて突然のしめじ。   ・鉄道駅横の市場(営業時間6:00~9:00) 地元の人々が通う生鮮市場を見たいならここもありです。駅舎に向かって右側にある体育館のような巨大な建物とその周辺で青果や魚、チーズ、スパイスなどを売...