2020年2月28日金曜日

細密画の町シリーズ② ムスチョラへの旅(モスクワから列車とバスで)

 昨年は細密画の町パレフПалех/Palekh へ行きましたが、その第二弾です。細密画シリーズ第二弾と言うことで。
 ウラジーミル州にはパレフのほか、ムスチョラМстёра/MsteraやホルイХолуй/Kholuyという町でも細密画が描かれています。パレフより規模は小さいですが、今回はムスチョラの博物館を目指します。


 しかし、パレフも遠かったですが、ムスチョラも行きにくかった。ムスチョラへはヴャズニキВязники/Vyaznikiという町からしかバスが出ていません。モスクワからだと、列車、バスともニジニ・ノヴゴロドへ行く途中ヴャズニキで停車するので、ここでムスチョラ行きのバスに乗り換えることになります。または、ウラジーミル-ヴャズニキもバスがあるので、乗り換え回数が増えますがそういうルートも利用できます。


 ヴャズニキは鉄道駅とバスターミナルがだいぶ離れています。ローカスバスで45分ほど。


 それを鑑みると、行きはバスにした方が同一ターミナル内での乗り換えなので時間のロスが少なくて済みそうです。その代わり、朝は早いですが。


 地下鉄ショルコフスカヤ駅にある中央バスターミナルから、7:00発のバスに乗車してヴャズニキを目指します。パスポートの提示が必要です。チケットは700R+保険が40Rでした。20人乗りのミニバンで出発です。途中で1度トイレ休憩(15R)がありました。


 時刻表ではヴャズニキには11:40着でしたが、実際には11:20くらいには到着しました。下車したところにはバス停留所しかなく、時刻表掲示すらなかったので、途方にくれていたのですが、道行くご老体がターミナルの場所を教えてくれました。

 進行方向に少し歩くと、右手に白い建物が出てきます。これがバスターミナルです。


 ここから出発するバスの時刻表はこちらです。11:45ムスチョラ行き(スタンキСтанки経由)に乗車。切符売り場でチケットを確保します。79R、パスポートは不要でした。カード払いの端末は見当たらず!


スタンキ経由だとこんなルート。


 ムスチョラには同名の鉄道駅もあるのですが、そこ経由のバス路線もあります。このルートの方が所要時間は長くなります。


 どちらのルートも、ムスチョラの中心にあるレーニン広場に到着します。広場は児童公園ほどの広さしかありません。バス停は、バスの絵のついた標識はありますが、時刻表はありませんでした。僕は博物館で帰りのバスの時間を教えてもらったのですが、皆さんどこで調べているんだろう。

 ヴャズニキ―ムスチョラ(スタンキ経由)のバス。往復とも同じ車・ドライバーでした。


 ムスチョラの町はパレフよりさらに小さく、しかも観光シーズンも始まっていなかったせいか、ご飯を食べられるところもありませんでした。唯一と思われるカフェにあったのはピロシキとお茶のみ。ですが、唯一開いていた博物館の常設展は見応えがありました。細密画のほか、刺繍や金属細工などの地元の工芸品が紹介されています。展示は撮影できなかったので、せめてOKをもらえた館内のドアの写真をば。


 ムスチョラの特徴は風景画や自然描写が美しいことだそうです。これは某所で撮影させてもらったムスチョラの箱。


 パルプ材(*)で箱本体を形成し、下地の黒い塗料を塗った上に絵を描き入れます。テンペラで二重、三重、四重と重ね塗りすることで絵に奥行きが生まれます。筆は極細のラインを描けるようにイタチの毛を使うのですが、中心に1本、その周りに3本、さらにその周りに7本と並べて作ります。オーナメント模様は金で、つやを出すために仕上げに磨きを入れます。安いお土産品だと金ではなく銅を使っているんだとか。良い材料を使い腕のいい職人が作る作品は、絵の奥行き感、描かれる人物の躍動感、絵の中の空気感が見る側に伝わってきますし、金のオーナメントが燃え立つ輝き方をします。
ボール紙のようなざらざらの1ミリ厚くらいのパルプ材を重ねてプレスし、さらにオイルを浸して乾燥させることで、合板のようになります。

 隣にあったムスチョラ神現修道院Богоявленский мстёрский монастырьにも立ち寄りました。イコンの制作で細密画の技術が育った場所なので、今でもイコンを描く職人がいます。そのためか、教会の中は新しいイコンがたくさん架けられていました。


 帰りのバスは15:20発。ヴャズニキへは16:00少し前に到着しました。

 さて、帰り道はいくつかルートがあります。
 一つ目はヴャズニキの鉄道駅へ移動して19:14発22:10着のラストチカでモスクワへ。しかし、ロシア鉄道のHPを見る限りこの日は残席数がほとんどないうえに、3000R近くまでずいぶん値上がりしています。出発時間までの待ち時間もだいぶ発生します。

 ムスチョラの博物館で聞いてみたところでは、ヴャズニキからウラジーミルに出て乗り換え、モスクワへ行くのがいいとのことでした。

◎ヴャズニキ→ウラジーミル(バス, 390R)
16:00
17:25(水木金以外)
18:10(金・日)

◎ウラジーミル→モスクワ(バス 515R、近郊列車 525R、長距離列車 値段は等級による)


 これより遅い時間だと長距離列車が22:17まであります。

 ヴャズニキで下車するなりバスターミナルのチケット売り場に駆け込み、16:00のウラジーミル行きを購入しました(390R)。間に合ってよかった。車体はミニバスですが、残席には余裕がありました。このルートは購入時にパスポート提示が必須です。

 ウラジーミルに到着したのは17:30くらいでした。さすが、この駅は利用客が多く栄えています。早速チケットを確保。バス続きだったので、最後は近郊列車にしました。18:22発21:59着で525R。カード払い可で、パスポートの提示は不要でした。

 チケット売り場が混雑していて時間を食ったため、店で食事する時間はありませんでしたが、食料を調達することはできました。ピロシキ、プリャニク、コーヒースタンドのほか、ロシアのホットドッグのファーストフード店「スタードッグスСтардогс」が駅舎内にあります。

 それにしても、これだけ固いシートに座っている時間が長いと、腰や肩が痛む・・・

 (モスクワ・クルスク駅に到着)

細密画シリーズ① パレフ訪問はこちら

2020年2月20日木曜日

モスクワの修道院の食堂(安い店②)

 モスクワで比較的安価に食事できる店の紹介、第2弾です。今回は修道院の食堂編。一般客にも門を開く食堂は今や多いですが、近年は味や雰囲気のレベルがかなり上がってきました。カウンターやテイクアウトオンリーではなく、落ち着いて座って食べられます。今回は、味も個人的には悪くないと思う三軒をピックアップしました。

1.ポクロフスキー古儀式派教会の食堂(トラペズナヤТрапезная)
所在地:Rogozhsky posyolok str., 29c 9 (ул. Рогожский Посёлок, 29, стр. 9)
D2カリトニキКалитники駅から徒歩5分、または地下鉄タガンスカヤ駅からバス51などで6駅先の「カリトニキ駅Станция Калитники」で下車して同じく徒歩5分。
営業時間:7:00-21:00


 古儀式派修道院の敷地の手前にある食堂。近所に住んでいる様子の老若男女が入れ代わり立ち代わり出入りして、かなり人気があります。予算は250~300ルーブル。
 こちらが外観です。このまま右の道を直進すると教会に出ます。入り口は道路側、ランプのついているところです。


 サラダ、スープ、メインともかなり種類豊富です。ピロシキも1個25ルーブルくらいと安く、具もさまざまです。


 ホールも2つあって広く、席数も多めです。















2.ノヴォスパスキー修道院の食堂
所在地:Krestyanskaya Square, 10c20 (Крестьянская площадь, 10, стр. 20)、
地下鉄クレスチヤンスカヤ・ザスタヴァ Крестьянская Застава駅、プロレタルスカヤПролетарская駅から徒歩10分
営業時間:9:00-20:00


 地下鉄から外に出ると、見慣れた黄色い鐘楼が見えます。ここに向かって進みます。


 鐘楼の向かいに修道院の入り口があるので、入ります。


 敷地に入ってすぐ右側の建物が食堂です。中はこんな内装。


 こちらも、けっこうたくさん選べます。ピロシキや一部のサラダはテイクアウト可。


 この日のメニュー。野菜や魚が中心ですね。


 ボルシチ、ピーマンのキノコ詰め、ハト麦ときのこと人参のお粥、ハーブティーを注文。全体に薄味です。


 売店も併設されていて、蜂蜜やジャム、オリーブ製品などが多数並んでいます。


3.ポクロフスコエ-グレボヴォにあるポクロフスカヤ教会の食堂
所在地:Volokolamskoe Highway, 52k1c1 (Волоколамское ш., 52, корп. 1, стр. 1)
D2ポクロフスコエ-ストレシネヴォ駅から徒歩4分、地下鉄シューキンスカヤから徒歩13分、モスクワ中央環状線МЦКストレシネヴォ駅から徒歩15分
営業時間:9:00-20:00


 赤い壁が目印です。が、壁の中心にある大きな門は廃墟になった屋敷(ポクロフスコエ-グレボヴォ・ストレシネヴォ)に通じる方で、この日は進入禁止でした。木の陰に見えるピンクの建物が教会で、ここの正面にある入り口から入ります。


 中に入ると正面が教会で、右手に売店、その奥に食堂があります。食堂の入り口にはこんな看板が出ています。メニューは前述の2軒より少ないですが、個人的にはここが一番うまかった。


 ここも食事のほかに蜂蜜や野菜の漬物、乳製品などを売っています。
 

 料理はここから選びます。


 かぼちゃのスープ50ルーブル、ジャガイモ(皮の中をくりぬいて、その中にマッシュポテトを詰めて、チーズ・ニンニク・ハーブをかけたもの)90ルーブル、蜂蜜とハーブ、スパイスの入った温かい飲み物、ズビーチェニが40ルーブルでした。かぼちゃのスープはスパイスが効いていて食べ応えあり。


 お決まりのパンやピロシキだけでなく、ケーキやクッキー、ドーナツが多かったです。


 ここでは日曜学校や陶芸教室、ボーイスカウトのようなアウトドアのクラブ活動もやっているようです。この日も子供たちが親同伴でたくさん集まっていました。裏は公園が広がっています。売店では19世紀のイコンを売っていました。売り上げは教会の修繕費になるそうです。コレクターの方はひとついかがでしょうか。

2020年2月10日月曜日

ロシアビザ無償化の「再打診」

 日本人がロシアに入国する際に面倒なのがビザの取得。全ての行程について代理店経由の予約が必要だった時代よりはかなり緩くなり、最近では極東地域(ウラジオからハバロフスク、チタ、ウラン・ウデまで)、カリーニングラードКалининград、そしてペテルブルクС.-Петербург(およびレニングラード州)までが簡易電子ビザで入国可能になりました(日本人の場合)。
 そして昨日、更に、ビザの廃止の打診がロシア側からなされました(以前に一度、打診したらしいのですが、事実上、拒絶されたらしい)。もちろん相互協定なので、日本側もロシア人をビザ無しで受け入れなければならないということもあって、実現は難しい気がします。が、それが不可能でも、簡易電子ビザの対象地域を増やしてほしい。もちろんモスクワがその対象になるといいのですが、イルクーツクとか、ノヴォシビルスクあたりにも簡易ビザを導入してほしい・・・

 最近行ってきたスヴィヤシスクСвияжск。冬のロシアは美しい。

アルメニア編その2 エレバン探訪(part2)

漬物屋。キャベツ丸ごとがでかい。 スパイス各種。 野菜コーナーにて突然のしめじ。   ・鉄道駅横の市場(営業時間6:00~9:00) 地元の人々が通う生鮮市場を見たいならここもありです。駅舎に向かって右側にある体育館のような巨大な建物とその周辺で青果や魚、チーズ、スパイスなどを売...