所在地はここ。クレムリンから南東部の地下鉄タガンスカヤ駅近くです。
知名度も高いし興味はあったのですが、事前予約が必要なのと、基本的にガイド付きのツアーでの参加となり、元々の入場料も高め。さらに外国人料金が設定されていたため、これまで躊躇していました。しかし新型コロナのせいで外国人観光客がいないせいか、現時点でウェブサイトにて購入できるチケットはロシア人向けのみ。これでいいのかよく分かりませんが、とりあえず買ってみました。
エクスカーションは複数種類あるのですが、とりあえずスタンダードらしき「バンカー42(Бункер-42)」というのを選択。日時を選んでカードで支払います。僕が買えたのはロシア人料金の1100Rのチケットでした。
見学当日。地下鉄タガンスカヤから徒歩5分です。下の地図だと環状線の駅から出るルート。
入り口はここ。やってきたものの、ドアはロックされていますし、中に入れなくて途方にくれました。が、だんだん参加者が集まってきて、予約時間の15分前になるとガイドが全員まとめて中に案内してくれました。ドキドキしながらイン。
僕はチケットをネットで事前購入しましたが、どうやら現地で直接購入することも可能でした。そしてネット購入しようがしまいが、全員が必ずチケット売り場へ行く必要があります。ここでチケットや通行証と引き換えるのです。懸案の外国人料金ですが、チケット売り場の人に挨拶だけしてプリントアウトしたEチケットを渡したところ、すんなり通行証と交換してくれ、事なきを得ました。外国人料金というのは、もしかして外国語で案内されるのですかね。どうなんでしょう。
そして、こんな通行証をもらいました。本物の軍事施設の通行証に書かれたのと同じ条項もあるのかもしれませんが、ジョークが効いていますねえ。
注意!
1.施設入場時に提示すること。2.拘束の危険の際は通行証を破棄すること。3.破棄する際、尾行されていないことを確認すること。4.通行証を紛失すると深刻な問題に遭遇する可能性がある。5.年金受給開始時、通行証は役に立たない。
→ロシアでは軍人が退職すると、公共交通機関や博物館入場料が安くなるなど、特恵待遇が存在するのですが、この通行証はそれには使えません、ということですね。
裏面はこうです。「ソ連国防省」身分証。階級:中尉。それにしても、すごい写真だ。
軍服を着たガイド氏がドスの利いた声で説明します。こちらも随時ジョークが効いています。内部は1つの部屋を除いて写真撮影可能、動画は撮影不可です。
この施設は4つのブロックから成っています。見学できるのは第4ブロックです。タガンスカヤ駅との位置関係も。敵からの攻撃は西側から来ることを想定していたため、クレムリンから東側のこの場所が選ばれたそうです。蛇足ですが、同じく博物館として公開されている第二次世界大戦中のスターリンのシェルターБункер Сталинаはさらに東のイズマイロヴォにあります。
核シェルターは地下65メートル、地下18階にあります。健康に問題のない人は徒歩で下ります。なかなか大変。
地下65メートルに到着しました。地下鉄タガンスカヤ駅の列車が上を通っているので、時折轟音が響きます。ここはクレムリンからさほど離れていないので、大統領府とこのシェルターを直接結ぶ通路はないのですが、地下鉄タガンスカヤ駅直結通路を使って地下鉄で移動する設計だったとのこと(一方、イズマイロヴォのスターリンのシェルターには直通路がありました)。
スターリンの執務室。実際はこの施設は1950~54年に作られており、スターリンは1953年に死亡しているので、この部屋は設計を基に再現しています。奥にいるのはスターリン君。
会議室。ここでは当時の航空機の模型が展示されていました。
核弾頭を搭載する戦闘機の1/10模型。このシェルターは長崎に投下された規模であれば防げるとのこと。
驚いたのは、核爆弾を落とすシミュレーターがあったことですね。希望する子供たちが制御装置の前に座って、モスクワが爆撃される様子を巨大モニターで見ながら、キノコ雲が立ち上る中、「モスクワは敵国の核攻撃を受けた。わが政府は敵国に対し報復として核攻撃を行う」というナレーションに従って、レバーを動かしスイッチを押すんですよ…日本では考えられないことですが。
兵士は基本的に常に一つのブロックでのみ仕事をして、ほかの業務内容を知ることがないようにしていたそうです。そして休憩室や食堂も少人数しか入れない小さいものをいくつも設置していました。こうして兵士同士が極力多数で会話せず、職務上知り得た情報を拡散しにくいように対策していたとのこと。
ほんの触りだけの紹介記事ですが、この後も最後までジョークあり、ドッキリあり。ラストは深さ65メートル分の階段を徒歩で上り地上に戻ります。とはいえ体調の悪い人はエレベーターを使えるのでご安心を。またここにはレストランもあるので、見学後に食事もできます。
かつてHISが日本語ツアーを催行したことがあったので、外国人観光客が来るようになれば復活するかもしれません。いろんな意味で一見の価値ありです。
ちょっとマニアックでしたかね。
外国人料金は地方都市に多いというイメージでしたが、モスクワにも残っているのですね。外国人料金の適用範囲は現場任せという感じがします。学生であれば学生料金があるから実質回避できるとか、成人でも長期滞在者であればロシア人料金でOKとか。
返信削除通行証のレプリカまで貰えるなんて、かなり凝っていますね。好きな人にはたまらないでしょう。
核爆弾の件は驚きました。かつてそういった装置があった程度の展示ならまだしも、今でも疑似体験できるように整備されているなんて。HISの人もきっと紹介するのが憚られたでしょう。