2021年4月26日月曜日

オーロラハンティング(ムールマンスクへの旅6)

 ムールマンスクに来た一番の目的はオーロラを見ること。この冬に当地を訪れた方々は皆さん口を揃えて「見られた。すごくきれいだった」と言っていました。そんなに誰でも見られるものなのかと思っていましたが、その秘訣は一か所にとどまって出るのを待つのではなく、追いかけていくということです。ムールマンスク州は天気が変わりやすく、どんなに上空でオーロラが出ても、雲があれば地上からは見えません。そのため雲の切れ目を探して車で移動するのです。これが現地では「オーロラハンティング Охота на северное сияние」と呼ばれる所以です。道路がある、進入可能な場所であれば、ムールマンスクから東西南北に移動して観測できます。


 初日から見えたと言う人も僕の周囲には多いですが、お勧めの滞在日数は35日だと案内されました。僕は34日にしましたが、これならうまく見られない日があっても予備日があるし、何とかなるだろうという軽い気持ちで現地入りしたのでした。

 

 しかし、この地域、天気が変わりやすいというのは本当でした。1日の中で快晴になったかと思えば吹雪になり、また運の悪いことに夜になると大きな雲が出て、初日は雲の切れ目が全くなし。そのため中止になりました。翌日はノルウェー国境に向って車を飛ばし、晴れ間を見つけたものの、オーロラは出ず、すぐに雲に覆われてしまいました。急遽進路を変更しましたが、その後もかけらも見えず。あっという間に最終日の夜を迎えることになりました。

 

 夕方から天気図をモニタリングしていましたが、明朝4:00くらいまでほとんど全域が曇り。それ以降は朝が近づくにつれて空が明るくなっていくので、そうなったら時間切れなのです。まだどうなるか分かりませんが、無理かもしれないという気持ちがだんだん湧いてきました。しかし、ガイド氏は夜20:00まで待ってから、「1:00より前には見られないので、23:30出発にしましょう」とのメッセージをくれました。とりあえずこのまま天気図をフォローし続けますが、これで天気が回復しないようであれば中止になる可能性もまだあります。



 真夜中、再度連絡が来て、決行することになりました。ノルウェーの国境に向って、西へ走ります。

 

 しばらくすると、空の向こうに雲の切れ目が確認でき、僕たちの頭上にも星がうっすらと見えてきました。ガイド氏は途中で車を停めて空の写真をパチリ。こうすると肉眼では見えないレベルのオーロラが写るので、オーロラの出始めの兆候を調べるために、このように偵察するのです。すると、どうやら雲の向こう、僕たちの真上にオーロラが出ているようです。空が開けるところまで急ぎます。

 


 やっと雲の切れ目に着きました。頭上に大きく帯状に出ているので、急いで車を降ります。初のオーロラ、素人でもはっきり分かるほどでした。このときは南北に空を横断するように長く出ましたが、ガイド氏曰く、こんな出方は珍しいのだとか。普通は北北西〜北北東、北西〜北東のように、弧を描く範囲で出ることが多いそうです。

 

 ガイド氏は急いで三脚を立てて、オーロラを背景に客を撮影します。5秒ほど動かずにいないといけないので、なかなかうまく行かない人も。その間に僕も素人カメラですがチャレンジしてみます。 



 撮れば撮るほどコツが分かり、調整もできていくのですが、残念ながら到着時ほど強い光はこのあと出ず、上の写真のような小さい光や、肉眼でうっすら見えるものしか写せませんでした。悔しいですが、自然現象なので仕方がありません。うーん、また来いということか。



 

 オーロラを見るにはいつ現地入りするのがいいか聞いたところ、例年出方が違うので何月が特にいいとは言えないものの、安定して見られるのは11月後半からだそうです。一番いいやり方は、職場で、秋の終わりから春になる前の間の2か月連続のどこかで休暇を取りたいと言っておき、現地からの連絡を待ち、「2日後だ」とか「1週間後だ」と連絡が来たらそれに合わせて行くことだそうです。そんな柔軟な会社に勤めてみたい

 

 地上の天気予報を見て、例えば1週間連続でノルウェーからサンクトペテルブルクまで雲のないときに来るのもありとのこと。あるいは太陽フレアの活動をモニタリングするのもいいとのこと。爆発した2日後には大きなオーロラが出るのだそうです。ということは、水~木曜日に大きめの爆発があり、週末が雲のない晴天の予報であれば、急遽チケットと宿をとって金曜夜から日曜にかけて出かけるといいということですね。そんな都合のいいこと、起こってほしいものです。

 

 ホテルに戻ったのは4時近くでした。チェックアウトまでひと眠り。

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