2025年9月28日日曜日

ロシアからモンゴルへバスで移動(ウラン・ウデからウランバートルへ)

 ロシアの地方都市から出入国をすると、別室に呼ばれるなど怖い思いをする確率が高いと言われていますが、在留邦人の間でウラン・ウデからモンゴルへ抜ける国境は比較的マシだとの話を聞きました。一度試してみたかったのですが、事情があってそのチャンスが巡ってきました。


位置関係はこうなっています。


 移動手段は鉄道またはバスです。

 2025年現在、鉄道の場合、イルクーツク発ウランバートル行は週2便あり、ロシア発モンゴル行きは火金、モンゴル発ロシア行きは土日に出発します。途中停車駅は、ロシア側だとスリュジャンカ-1Слюдянка-1/Slyudyanka-1)、ウラン・ウデ旅客駅(Улан-Удэ Пасс./Ulan-Ude Pass.)、ジダ(Джида/Ddzhida)、ナウシキ(Наушки/Naushki)、モンゴル側はスフバートル(Сухэ-Батор/Sükhbaatar)、ダルハン(Дархан/Darkhan)、ズーンハラ(Зуунэхараа/ Züünkharaa)です。

 ロシア鉄道によると、イルクーツク発ウランバートル行の発着時刻と料金は以下の通り。一等寝台と二等寝台があります。



 ウランバートル発イルクーツク着は以下。こちらはなぜか二等寝台しか設定がなく、購入できる車両も1両しかないので、ロシア鉄道に割り当てられている座席が1車両分ということか。そして日曜日の便はアプリで購入できず、「端末機を利用してください」と表示されます。通常この表示は近郊列車のように席予約不要、事前予約不可の場合に出るのですが、つまりモンゴルにて現地購入するようにということなのでしょう。




 バスは1日1便あり、朝7:30にウラン・ウデ及びウランバートルのバスターミナルを出発します。所要時間は約12時間。ほか、金・日は19:00発の夜行便もあります。またウラン・ウデからスフバートル行きも1日1便、13:00発で運行されています。逆方向だと5:00スフバートル発です。

 このチケットはバスターミナルで紙に手書きで発行されるので、最も簡単な入手方法は現地での直接購入です。事前に確保したい場合は旅行会社経由で可能ですが、即時発行はできないため時間に余裕をもって注文しなければなりません。そして乗車時にもチケット原本が必要なので、旅行会社からピックアップする手間がかかります。

例えば以下の旅行会社で可能です。

https://welovebaikal.com/tickets_mongolia

 実際にやってみました。ウラン・ウデのバスターミナルに赴き、翌日朝の便を予約しました。バスターミナルは撮影禁止のため、あまり写真を撮れず、あしからず。

奥のベージュと茶色の建物がターミナルです。この中にチケット売り場や待合室があります。


 入ると2部屋あり、どちらにも売り場窓口があります。ちょうど客足が途絶えたので、ここに並びます。

翌日朝のウランバートル行きを買います。パスポートを出すと、中の係員がボールペンで必要情報を書き込んでいきます。料金は3000Rです。


すると、こんなチケットを渡されました。



今やなかなかお目にかかれない紙のチケット。昔の鉄道を思い出します。


バス時刻表一覧。



ここにも募兵ポスターが。



翌朝。7:00には来るようにとのことだったので、それより少し早く到着。定刻にバスもやってきました。

この日、座席は7割方埋まっていました。


 バスはロシア側で一度休憩を取ります。トイレは有料で30R。この日のドライバー氏は全員戻ってくる前に走り出し、乗客に止められていたので、時間厳守で戻らないと危険でした。

 次の停車場所は国境前です。本物の国境の手前に小さな建物があり、制服の治安機関職員がバスに入ってきて全員のパスポートを確認します。ロシア人とモンゴル人は目視のみですが、それ以外の外国人はパスポートを回収され、一緒に下車するように指示されます。下車すると、「登録するので待つように」と言われ、彼が戻ってくるまで路上で待機します。15分ほどで戻ってくると、パスポートを返却され、再びバスに乗ります。

 バスはさらに先に進み、ほどなく見えてきたもっと大きな建物前で停車しました。ここが国境で、全員すべての荷物を持って中に入ります。パスポートコントロールと税関を全員一緒に通過するのですが、ドライバー氏が「外国人は時間がかかるから、最初に通してください」とほかの乗客に伝え、先頭に回してもらいました。ありがたいのですが、逆に不安。一体どれだけかかるのか。

 国境管理官から声がかかり、パスポートコントロールのブースに向かいます。窓口は2つ。モンゴルへの渡航目的、行先、宿泊場所、その後の行先を聞かれましたが、口頭で簡潔に答えたのみで、それ以上の追及はなく終了。ちなみにロシア人やモンゴル人だと通過するのが本当に早く、質問もほとんどないようでした。

 続いてその奥にある税関へ。X線の検査機があるのですが、僕は鞄を開けるように言われただけで、係官が上からのぞき込んで終了。大荷物を抱えたほかの人々も、特に引っかかっている様子もなく、続々と手続きを終えて出てきました。ちなみにここにもトイレがあり、清潔で、無料で使えます。

 全員が手続きを終えると、バスに再び乗車し、今度はモンゴル側の国境へ向かいます。モンゴル側の国境管理施設はロシア側より大きく広々としていて、中が真っ白で新しいようでした。モンゴル側でも全員すべての荷物を持って下車し、同様にパスポートコントロールを通過します。ここでは指紋採取と顔写真の撮影の指示くらいしか国境管理官からの発言はなく、こちらの方が早く通過できました。

 再びバスに乗って出発すると、ちょっとしか進んでいないのに再び停車しました。何事かと思っていると、どやどやと何人かが乗り込んできます。手には分厚い札束が。おお!両替商の集団です。

 レートはどの両替商も全員同一で、この日は1R=42MNT(トゥグルグ)。闇カルテルや。気になるのが、こういうときいくら両替するか問題。隣のロシア人3人組は、明日朝に市内の銀行・両替所が開くまでしのぐ分として、3人で5000R両替するとのこと。僕も少額を確保しました。

 すでに正午をとうに回っていました。この次の休憩所はランチを兼ねています。

 さっそく両替したトゥグルグを使って食事します。前に並んでいた、同乗者のおっちゃんにお勧めを尋ねると、麺とペリメニ入りのスープにするとのこと。それはうまそうです。




丼いっぱいで、13500MNT(約591円)也。


ペリメニのほか、細かな肉片も入っています。味からして、間違いなく羊肉。薄味で肉の風味がしっかり分かります。胃袋に沁みました。

 この食事処の隣には小さな商店があります。酒コーナーにて、あの国民的ビールを発見。思わず手が伸びそうになりました。


 ここから先が長かった。スフバートル、ダルハンを通り、もう一度休憩を挟んで、暗くなってからもまだまだ進みます。

 終点の新ドラゴン・バスターミナルに到着したのは20:30過ぎでした。予定では19:00到着でしたが、運転手曰く、国境通過と渋滞でこれくらい遅くなったとの弁。いったんターミナルに入り、フリーWifiを拝借しました。

 元々あったドラゴン・バスターミナルから最近ここに移転したということで、明るく広々としています。ATMはありましたが、両替所はありませんでした。


 同乗していたロシア人はアサヒ・スーパードライを早速飲んでいました。「長距離移動のあとは、なぜかいつもビールが飲みたくなるんだ。昔はアサヒビールはどこでも売っていたんだよ。うまいね」と言いながら(ロシアでは、以前は大型スーパーであればどこでも買えましたが、今では第三国からの輸入品がたまにある程度)。

 このバスターミナルは中心部からかなり離れていますし、付近に宿がないので、タクシーやバスに乗り換えてさらに移動します。ターミナル入口でタクシーの運転手が客引きしていますが、交渉も面倒ですし、市内バスが何本も目の前から出ているので、これに乗車しました。ウランバートルは1乗り1000MNT(約42円)。前方の入口から乗車し、運賃箱にお金を投入して座席へと進みます。現地の人々は「Umoney(ユーマネー)」というICカードを使用していますが、売り場も限られていますし、なくても乗れるので、数日程度の滞在であれば1000MNT札を数枚手元にキープしておくのが良しです。


宿に着いたのは22:00頃。長い一日でした。仕事仕事。

2025年9月23日火曜日

ナゴルノ・カラバフへの鉄路

第一次ナゴルノ・カラバフ戦争の1993年以来停止していたバクーからアグダム行き列車が復活とのこと。(https://www.railwaygazette.com/passenger/azerbaijan-relaunches-passenger-trains-to-adam/69510.article?utm_source=chatgpt.com)より。写真も同頁から。


371キロの行程を、かつては寝台で8時間半だったのが、ディーゼル列車で今回4時間40分で着くとのこと。これが30年の進化。土曜日に運行とのこと。


アルメニアとは一応休戦・停戦協定がむすばれたとかで、もう、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンのものとなったらしい。今度行くことになりそうなので勉強しておかないと。

2025年9月15日月曜日

多機能センターでの滞在登録、2025年9月1日から有料化

また面倒なことが生じる系ニュース。ホテルでなく、アパートを借りる系の滞在方法を採る場合には注意。

 

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ttps://www.vesti.ru/article/4635667?ysclid=memmgc02of799408772

ロシアでは202591日から滞在登録、移民登録及び労働許可発行に関する外国人を対象とした新たな税額が施行される。

滞在場所での登録の税は500ルーブルとなる。現在このサービスは無償で提供されている。

 

※他の報道によると、ホテルで滞在登録する場合は無償のままだとのこと。

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大家にやってもらっている場合、多機能センター内の内務省移民局で手続きすると無料だったのですが、これが500ルーブルになるとのこと。

 

ホテルでの滞在登録は無料のままらしいので、大家が滞在登録する場合、普段借りている賃貸住宅や民泊といったケースだと関わってくるでしょうか。

 

旅行者はホテル泊になるでしょうからあまり関係ありませんが、現地在住者には出入国の都度、あるいは滞在日数が嵩むにつれて関わってきます。どのセンターで手続きするかにもよりますが、地区によっては窓口での手続きを予約するのに数日~2週間待ちなんですよねえ。昔は直接行けばすぐに手続きできたのですが。



2025年9月11日木曜日

ロシアで販売するガジェットに「Max」のプリインストール義務化

―――――――――――――――――――――――――――https://t.me/rbc_news/128187

ロシア政府が伝えたところによると、9/1からロシアで販売されるガジェットには、メッセンジャーアプリ「Max」をプリインストールすることが義務づけられる。これは2023年からプリインストールが義務化されていたVKメッセンジャーと置き換えられる。
また、アプリストアの「RuStore」もプリインストールが義務となる。

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7月中旬からWhatsAppTelegramは、チャットはできるのに通話ができず、ぶつぶつ切れるようになっているのですが、その頃からMaxというアプリに切り替えさせる動きが出ています。例えば、学校で教員と保護者が使う連絡用チャットはMaxにする等です。

このアプリ、独立系メディアの報道によると、データを勝手に抜かれる機能が搭載されていて、保安庁に通信が筒抜けになるとか。

 


 


2025年9月10日水曜日

エレツに寄り道

 

  リペツク州に、エレツЕлец/Eletsという町があります。年代記によると1146年に記録されている古都です。モスクワが年代記に登場するのが1147年なので、1年違い。こちら(https://elets-adm.ru/elets/history/によると、1012世紀にロシアの土地の警備と防衛のために建設された一連の要塞都市のひとつとして生まれたとのこと。

 

州都のリペツクが建設されたのは1703年なので、エレツの方がずっと古いですし、古い町並みも残されています。

 

エレツ市内地図。見所は中心部に固まっています。この町にはバスターミナルが2つあり、一つは鉄道駅から徒歩6分の位置に隣接しています。中心部や第2ターミナルに行くにはバスやタクシーを利用することになります。

 

エレツ鉄道駅。ここから第1バスターミナルに向かいます。

ここでヤンデックス地図を確認しようとしたのですが、モバイルネットワークが不調で検索できず。取り急ぎオフライン地図を頼りに行動するしかありません。

 

駅の裏の通りに出てもそれらしき建物が見えず、左手にしばらく歩いていると、見えてきました。この三角屋根の小さな建物がバスターミナルです。

 

時刻表。

切符売り場で先にバスのチケットを確保しようとしたのですが、僕の乗りたかった時間帯のバスはこの日は出ないとのこと。ほかにも臨時運航中止の便があり、これは早々に確認しておいてよかった。しかし、どうしたものか。

 

係員によると、僕の乗りたかった時間帯に一番近いバスが第2バスターミナルから出発するとのこと。ここでは購入できないので、早めに第2ターミナルに移動して買っておいた方がよさそう。

 

さて、中心部に向かいます。第1バスターミナルと鉄道駅の間にあるバス停から1番バスで中心部まで行けます。ところが、このバスも時刻表通りには来ず。3040分待ってやっと乗れました。満員御礼。

 

公園が見えてきました。この辺で下車。


その対面には救世主昇天大聖堂 Кафедральный собор Вознесения Господня/The Cathedral of the Ascension

 

某所にあった観光者向けの地図。大雑把なオフラインの地図しか手元になかったので、分かりやすくてありがたや。

 

ミール通り。歩行者天国になっています。

 

 


この町、よく見ると通りの名前が現在のものと古いもの、2種類掲示されているのですよ。例えばこの写真の場所は、現在はオクチャブリスカヤ通りですが、以前はソボルナヤ通りでした。

 

ノーベル文学賞作家のイワン・ブーニンさん。

 

 

 

 

せっかくなので、手工芸博物館に入ってみました。

この地では19世紀以来、レース編みが名物です。

 

スタッフの方が実演してくれました。何本もある木の棒状の糸巻きを交差させて網目を作り、下絵のようにレースを編んでいきます。何度見せてもらっても、どの糸がどう絡まって形成されていくかうまく理解できないのですが、鮮やかな手さばきに圧倒されました。

 

そろそろ第2バスターミナルに移動します。中心部からは所要時間30分ほど。この時もモバイルネットワークが使えず、ミュージアムでバス停やバスの番号を教えてもらいました。地方都市だからか、どなたも主要な路線を暗記しているようです。おかげさまで助かりました。でないと街中で途方に暮れていたでしょう。

この建物が第2バスターミナル。半分は待合スペースでした。

 

近郊の路線図。


このバスターミナルからの都市間バス時刻表。

 

この時刻表には、エレツ→リペツクが記載されていません。窓口で確認したところ、別の町からさらに遠くまで行くバスに途中で乗り、途中で降りることになるのだそう。そして出発時刻40分前に構内放送があり、このチケットが販売開始になりました。350R。バスは満席でした。最近はネット購入できるチケットが多いのですが、これは難しそうなので、早めに来ておいてよかった。

 

リペツクまでは1時間半ほどの道のりです。ちょっと一休み。

2025年8月28日木曜日

モバイルインターネットのない世界

リペツク州に行ったわけですが…、街歩きをしようとヤンデックス地図を開いたところ、全然ダウンロードできず。困り果てて、近くのカフェで休憩がてら店員氏に尋ねたところ、「今日はモバイルインターネットが朝から全然繋がらない」とのこと。


実は例のクモの巣作戦以来、2025年7月からロシア全土でモバイルインターネットがしばしば遮断されるようになってきています。モスクワではそこまでひどくないので普段困ることはないのですが、土地勘のない地方では勘弁してほしい。今のところ、町中の人に聞きながらバスに乗ったりできているので、万事休すの事態は免れていますが、タクシーアプリは使えませんし、ネット検索もできませんし、非常に不便。

WiFiまで遮断されるケースも少ないながら報告されているのでカード決済できない事態に備えて念のためにいくばくかの現金も用意しました。どうなることやら。

2025年8月25日月曜日

レフ・トルストイ最期の地への旅(リペツク州)その2

レフ・トルストイ駅行きは7番プラットフォームから出発します。チケットは券売所で購入し、要パスポート。292Rで、座席指定制でした。

乗客はかなり多く、ほぼ満席でした。ここから1時間40分。

レフ・トルストイ駅前のバスターミナルに到着。


この駅発着のバスの時刻表。



先に文化教育センターКультурно-образовательный центрというところでチケットを購入します。このセンター内にも展示室があり、レプリカが多いものの、トルストイが作った学校やそこで学んだ人々のエピソードが紹介されています。


それから、線路に向かって進んでいくと、赤い小屋が左手に見えてきます。





ここが、体調を崩したトルストイ翁の面倒を見たオゾーリン駅長の家です。今ではメモリアルミュージアムになっています。

トルストイの服。

そして最後。駅舎は職員がいるときなら入れるとのこと。



恐る恐る扉を押すと、開いていました。職員らしきおっちゃんが出てきて、中のホールのカギを開けて、明かりをつけてくれました。ありがたや。


昔の駅で使われていた電話や照明などが展示されていました。


駅舎の裏には、トルストイの死亡時刻を示した時計があります。



おっちゃんが、「機関車を見て行きなさい」と声をかけてくれました。

病気になったトルストイが乗ったのと同じシリーズの機関車だとのこと。


さて、帰りのバスの時刻が迫ってきました。バスターミナルに戻ると、路上にバスがスタンバイしていました。ここでは運転手に直接支払います。帰りは乗客が少なく、自由席です。

 

バスターミナルから鉄道駅に移動して、モスクワへ戻ります。


リペツク鉄道駅構内。土産のキオスクは閉まっていましたが、軽食は購入可能でした。

 

列車はモスクワ・パヴェレツキー駅に到着しました。明日からまた仕事。

ロシアからモンゴルへバスで移動(ウラン・ウデからウランバートルへ)

 ロシアの地方都市から出入国をすると、別室に呼ばれるなど怖い思いをする確率が高いと言われていますが、在留邦人の間でウラン・ウデからモンゴルへ抜ける国境は比較的マシだとの話を聞きました。一度試してみたかったのですが、事情があってそのチャンスが巡ってきました。 位置関係はこうなってい...