2021年3月30日火曜日

モスクワからジョストヴォ訪問

  春めいてきましたので、ウキウキした気分で近場を回ろうと思い、ジョストヴォЖоствоへ行ってきました。
  ロシアの手工芸品の一つに、黒地の金属盆に花の絵を描いたものがあります。これを作っているのがモスクワ郊外のジョストヴォ村でして、この手のお盆は地名を取って「ジョストヴォ」と呼ばれています。



 貴族のシェレメチェフに仕えるジョストヴォ出身の農奴ヴィシニャコフが、18世紀末に「ニス塗工房」を開きます。土台をパルプで作り、絵付けをし、ニスを塗って仕上げるものを製作し、小箱、シガーケース、お盆などが主な商品でした。描かれる絵は当時有名だったロシアや西欧の絵画作品の模倣でした。
 息子オシップの時代になると、彼はオスタシコヴォ村に自前の工房を開きました。そしてある展示会で、ウラル地方で作られた花柄の金属盆に出会います。そしてパルプ製品から金属盆の製作に転換することを決めました。1825年にはすでに作られていたことが記録に残っています。
 典型的なジョストヴォのモチーフは花束で、中央に大輪の花があり、周辺に細かな花や葉があしらわれています。縁は金の絵具のオーナメント。背景は黒で、これにより花の色鮮やかさが際立ちます。とはいえ、今は黒に限らずさまざまな色の下地の盆が作られています。
 
 この村にはこの工芸品を紹介する博物館があり、実際の作業を見学することができます。
https://zhostovo.ru/
要事前予約。電話のほか、メールやWhatsAppでも連絡できます。グループでも個人でも見学可能です。営業時間は9:00-17:00で、料金表はこちら。左からグループの人数、マスタークラス+見学(所要時間2時間)、料金(子供・学生・年金受給者/大人)、見学のみ(1時間)、料金です。



 ただ、これを見ると、ひとりで参加した場合、ミュージアム見学ツアー(マスタークラスなし)で1000Rと、なかなかお高い。ですが、HPの案内によると、土日だと個人客であってもその時に集まった団体に混ぜてもらい、安い料金で入ることが可能らしいです。こちらも事前予約は必要ですが、集まった人数次第で料金が変動し、大人でも通常1300R以下になるそうです。
 いずれにしても要事前予約ということなので、試しに連絡してみました。すると、ちょうどよく直近の週末にツアーを催行するグループがあり、便乗させてもらうことに。念のため値段を聞くと、300Rとのこと。これはいい。
 
 アクセスですが、地下鉄メドヴェトコヴォМедведково / Medvedkovo駅からバスが出ています。438番バスが直通です。ほかにも、バス314k、314、438、509、マルシュルートカ166でピロゴヴォст. Пироговоまで行き、26、438に乗り換えて行くこともできます。




 オレンジ線の北の終点、メドヴェトコヴォで降り、2番出口から地上に出ると、右手にショッピングモール、左手にバス停があります。



 大型バスで、45分ほど。運賃は100Rで、現金・カード払い可。少し遅れて現地に到着しました。終点ではないので要注意です。
 
 そこからミュージアムまでは徒歩15分ほどです。外観写真を撮りそこなったのですが、入り口には大型の貸し切りバスが停まっていて、どうやら団体が来ている様子です。手前に売店、奥に展示室があり、売店のレジで名乗って料金を払ってから、展示室へ向かいます。ちなみに、電話では300Rと言われましたが、現地では200Rで済みました。
  最初にジョストヴォの由来を紹介する動画を見ます。その次に、ガイドの女性がみんなの前で絵付けをデモンストレーションしてくれます。
 
 まずはお盆の上に、一塗り目。使用する絵具は普通の油絵具だそうです。



 一筆で花びらを描いていきます。間違った場合は全体を消すことができますが、できるだけ消さないように一発で描きます。


 これで一塗り目が完成です。
 


 本来であれば、ここで乾燥の工程を挟むのですが、デモンストレーションでは2枚目のお盆で二回目の塗りを入れます。ここで花に陰影を入れていきます。



 これを数回繰り返し、絵が完成します。

 完成品のお盆が壁中に飾ってあります。黒地に花柄が典型的ですが、確かに華やかです。



 作家によって得意なモチーフが違います。花柄の人もいれば、鳥がうまい人も。


 こんな東洋風の絵柄も。こんな漆塗りのお盆、日本にありそうです。



 反射してしまって見えにくいのですが、一風変わった作品です。周囲の凹凸はどうやって出したのか、作った人にしか分からないそうです。凍った窓ガラスの向こうに見える雪景色がモチーフ。



 ちょっと変わった趣向ですが、こんなものも。



 ジョストヴォで製作された、最大のお盆。80キロあるそうです。


 活躍した往年の職人たち。この村の地元の人ばかりなので、今でも村人の家に行くと、壁には家族の製作したお盆が飾ってあり、由来を語ってくれるのだとか。
 


 一通り見学すると、皆さん売店に行って商品を物色。ここは数千~数万ルーブル台のものから、2000R前後の比較的お手頃なものまで、ピンキリです。お盆以外にも結構いろいろ。クリスマスツリーの飾り、ブリキのバケツや水差し、花柄を施した木製の小さなベンチなどなど。モスクワからは1時間ほどで来られるので、半日旅行にはいいのではないでしょうか。
 

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