2023年7月27日木曜日

レーニン図書館のバックヤードに行ってみた①

 世界最大級の図書館である、ロシア国立図書館。地下鉄の駅名になっている「レーニン図書館」の旧称で今でも親しまれています。ここのバックヤードツアーに参加したので、ご紹介します。


 レーニン図書館の由来は19世紀半ばのサンクトペテルブルグのルミャンツェフ博物館にあります。この博物館はニコライ1世の命令で1828年にサンクトペテルブルグに設立され、アレクサンドル2世により、1862年6月19日にこの分館がモスクワに設立されます。1862年からは出版物は必ずここに納品されることになり、1917年までには蔵書の8割が納品制度による本となりました。しかし1925年にはルミャンツェフ博物館の廃止に関する決議により、美術品はトレチャコフ美術館やプーシキン美術館など複数のミュージアムに移され、同博物館をベースに「レーニン名称ソ連邦国立図書館」が設立されました。1992年に現在の名称である「ロシア国立図書館」に改称。2021年の同図書館の年次報告書によると、書籍や雑誌、電子文書など合計4811万3393点の出版物を保管しているとのこと。

 ツアーはレーニン図書館の公式ウェブサイトから参加登録できます。
https://leninkatour.rsl.ru/ekskursii#!/tab/215693062-1

 このほか、複数の旅行会社が提携したツアーを催行しています。僕は旅行会社経由で日中のプランに参加しました。これだと営業中の書庫を見せてもらえます。夜間のツアーもあり、図書館利用者のいない、人気のない閲覧室を見学できます。それはそれでいいかも。

 入口で集合すると、二階に案内されます。最初に向かったのは……


 書籍の登録カードを納めた棚です。
 このような棚が壁にびっしり並んでいます。

 通し番号と苗字が書かれています。

 中には昔の書籍の登録カードが収められています。いずれの書籍情報も帝政ロシア時代に出版されたものです。いくつか見せてもらいましたが、どれも達筆です。帝政ロシア時代、図書館で働くことができたのは男性だけだったとのこと。

 続いて下の階に向かいます。
 ここでガイド氏から「本はどこに保管されていると思いますか?」と質問がありました。一行からは「地下ですか?」との声が。ガイド氏曰く、「なぜか皆さんそう思うんです。ですが、ここの地下にあるのは地下鉄だけです。書庫は地上にあります。」

 では、僕たちが歩いているこの半地下は何なのか?

 このような通路がかなり遠くまで続いています。しかも、塞いでありますが、レールまで敷いてあります。
 
 この通路は、レーニン図書館本館と、その隣にある分館のパシコフ邸をつないでいます。第二次世界大戦中、パシコフ邸にあった図書を本館に避難させるために利用されたとのこと。やっぱりつながっていたのか!
 この時期、男性は戦争にとられていたので、主に女性たちがこのレールに台車を乗せて本を運んだとのこと。
 この通路沿いにいくつか見学できる部屋があります。

 ここは広い館内の時計を合わせるために使っていた古いシステムを置いています。一括管理体制。

 ここは古い電話を集めた部屋。昔、自宅にあったような電話がいくつも見えます。
 

 
 これはドイツの通信機です。ハンドルを回して使う、あれです。
 
 中身はこちら。

 
 カンニングペーパー付。それぞれのアルファベットが意味する単語の一覧がついています。
 
 これは黒電話ならぬ赤電話。
 
 黒電話。しかしこれはダイヤルがない、通話を受けるのみのもの。
 
 ですが、受信だけでなく、発信にも使いたいですよねえ。

 この、回すこともプッシュすることもできない電話で発信する方法ですが、ガイド氏曰く、受話器を持ち上げ、受話器の重さで押さえつけられていたでっぱり部分を高速で押すのです。「1」を押したいときは1回、「5」を押したいときは5回。例えば、「150」と押したいなら、1回押し、少し間を開けて5回押し、再び少し間を開けて10回押します。数え間違いそう……しかしいいことを聞きました。こういうのは旧ソ連諸国のどこかでまだ使っていそうだし。
 長くなったので、次の記事に続きます。

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