2023年7月30日日曜日

レーニン図書館のバックヤードに行ってみた② 気送管郵便

 次に見せてもらったのは、気送管、エアシューターです。図書申請用紙を、書庫から必要な本を取ってくる司書に届けるために、今でも使われているのですよ。びっくり。



 こちらが気送管設備の館内地図。
 図には赤とグレーの2本のラインがありますが、実際に2本のパイプラインが走っています。少し切れていてすみません、左下の赤とグレーのラインの始まりが、この部屋の中にあるカプセルをセットして送り出す位置です。そして2本のラインそれぞれが、3桁の数字で表示されたアドレスの配送先につながっています。

 
 実演してもらいました。
 カプセルに書籍の請求用紙を入れます。1つのカプセルに8枚ほど入れられるとのこと。



 ここからカプセルを発送します。ライン1と2があり、その上のボタンを押して行き先を指定します。「355」というのがこの機材のアドレスです。
 今回はデモンストレーションのため、左側の機材を使い、すぐに戻ってくるように、「355」を指定します(写真でも、「355」のボタンが押されています)。開口部に入れるとすぽっと吸い込まれ、パイプラを通るカランカランという音が聞こえてきましたが、しばらくすると同じラインを通じてここに落ちてきました。


 これはカプセルの位置を表示するコントロールパネル。詰まりなど、不具合があった場合もここに表示されます。

 カプセルはこの部屋から発送され、使用後に配送先のアドレスからまたここに発送されて戻ってきます。

 あるとき、この装置を利用して、誰かがチョコレート菓子をカプセルに入れたそうです。しかし、パイプラインの途中でこの菓子が爆発して大惨事になったとのこと。それ以降、二度と菓子を入れる人はいないそうです。図書館ではいまだに語り継がれている逸話なんだとか。

 この気送管郵便、電子メールのなかった時代のスピーディーな連絡手段です。今は段階的にコンピューターによるシステムに置き換えられているので、この気送管郵便を担当しているスタッフも今いる人たちで最後の世代だそうです。現役で使われているのを見られるのも残りわずかかもしれません。
 しかしまあ、レーニン図書館でこんなのが使われていたというのは、いい知識を得ました。
 続きます!

2023年7月27日木曜日

レーニン図書館のバックヤードに行ってみた①

 世界最大級の図書館である、ロシア国立図書館。地下鉄の駅名になっている「レーニン図書館」の旧称で今でも親しまれています。ここのバックヤードツアーに参加したので、ご紹介します。


 レーニン図書館の由来は19世紀半ばのサンクトペテルブルグのルミャンツェフ博物館にあります。この博物館はニコライ1世の命令で1828年にサンクトペテルブルグに設立され、アレクサンドル2世により、1862年6月19日にこの分館がモスクワに設立されます。1862年からは出版物は必ずここに納品されることになり、1917年までには蔵書の8割が納品制度による本となりました。しかし1925年にはルミャンツェフ博物館の廃止に関する決議により、美術品はトレチャコフ美術館やプーシキン美術館など複数のミュージアムに移され、同博物館をベースに「レーニン名称ソ連邦国立図書館」が設立されました。1992年に現在の名称である「ロシア国立図書館」に改称。2021年の同図書館の年次報告書によると、書籍や雑誌、電子文書など合計4811万3393点の出版物を保管しているとのこと。

 ツアーはレーニン図書館の公式ウェブサイトから参加登録できます。
https://leninkatour.rsl.ru/ekskursii#!/tab/215693062-1

 このほか、複数の旅行会社が提携したツアーを催行しています。僕は旅行会社経由で日中のプランに参加しました。これだと営業中の書庫を見せてもらえます。夜間のツアーもあり、図書館利用者のいない、人気のない閲覧室を見学できます。それはそれでいいかも。

 入口で集合すると、二階に案内されます。最初に向かったのは……


 書籍の登録カードを納めた棚です。
 このような棚が壁にびっしり並んでいます。

 通し番号と苗字が書かれています。

 中には昔の書籍の登録カードが収められています。いずれの書籍情報も帝政ロシア時代に出版されたものです。いくつか見せてもらいましたが、どれも達筆です。帝政ロシア時代、図書館で働くことができたのは男性だけだったとのこと。

 続いて下の階に向かいます。
 ここでガイド氏から「本はどこに保管されていると思いますか?」と質問がありました。一行からは「地下ですか?」との声が。ガイド氏曰く、「なぜか皆さんそう思うんです。ですが、ここの地下にあるのは地下鉄だけです。書庫は地上にあります。」

 では、僕たちが歩いているこの半地下は何なのか?

 このような通路がかなり遠くまで続いています。しかも、塞いでありますが、レールまで敷いてあります。
 
 この通路は、レーニン図書館本館と、その隣にある分館のパシコフ邸をつないでいます。第二次世界大戦中、パシコフ邸にあった図書を本館に避難させるために利用されたとのこと。やっぱりつながっていたのか!
 この時期、男性は戦争にとられていたので、主に女性たちがこのレールに台車を乗せて本を運んだとのこと。
 この通路沿いにいくつか見学できる部屋があります。

 ここは広い館内の時計を合わせるために使っていた古いシステムを置いています。一括管理体制。

 ここは古い電話を集めた部屋。昔、自宅にあったような電話がいくつも見えます。
 

 
 これはドイツの通信機です。ハンドルを回して使う、あれです。
 
 中身はこちら。

 
 カンニングペーパー付。それぞれのアルファベットが意味する単語の一覧がついています。
 
 これは黒電話ならぬ赤電話。
 
 黒電話。しかしこれはダイヤルがない、通話を受けるのみのもの。
 
 ですが、受信だけでなく、発信にも使いたいですよねえ。

 この、回すこともプッシュすることもできない電話で発信する方法ですが、ガイド氏曰く、受話器を持ち上げ、受話器の重さで押さえつけられていたでっぱり部分を高速で押すのです。「1」を押したいときは1回、「5」を押したいときは5回。例えば、「150」と押したいなら、1回押し、少し間を開けて5回押し、再び少し間を開けて10回押します。数え間違いそう……しかしいいことを聞きました。こういうのは旧ソ連諸国のどこかでまだ使っていそうだし。
 長くなったので、次の記事に続きます。

2023年7月24日月曜日

アブダビ探訪その3 大統領官邸「カスル・アル・ワタン」

大統領官邸「カスル・アル・ワタン Qasr Al Watan」は実際に公務に使用されている施設で、2019年3月から一般公開が始まった比較的新しい観光名所だとのこと。これもアラビアンナイトに出てきそうな豪華絢爛な宮殿です。国賓を受け入れたり、アラブ首長国連邦の最高決定機関である連邦最高評議会を開催したりしている場所が一般公開されているなら、チャンスがあるなら見てみたい。というわけで、次はここへ向かいます。

公式ウェブサイト:https://www.qasralwatan.ae/

営業時間:毎日11:00~18:45、同施設を利用する催し物がある日は閉館

入場料:65AED

タクシーはビジターセンター前に停車します。まずはここでチケットを購入。ウェブサイトでも購入可能です。



購入すると、流れで別の出口へと案内されます。そこからバスに乗って官邸へ移動します。


 

ある程度の人数が集まると出発します。次の停車場はこちら。 

広い庭はびっしりとモザイクが敷き詰められていて美しい。

 

         ここから中に入ります。扉に近づくと、ブラックスーツを着たスタッフが中から開いてくれます。


         入ると、一気にこんな光景が広がります。

この大ホールの右手にあるゴールドのオブジェの前では、プロのカメラマンに撮影してもらうサービスをやっています。


ホールの外周にはいくつか見学できる部屋があります。


               ここは会議室。

別の部屋は古い時代の文化を紹介するコーナーで、イスラム圏で発展した天文学、古楽器、アラビアンナイトなどの展示が見られます。




ここには5万冊以上の蔵書がある図書館もあります。



        こちらはバンケットホール。


この国を訪問した国賓からの数々のプレゼントも展示されています。それがこちら。

 


 


 日本の甲冑まであります。目立ちますが、意外と違和感なく収まっているのは、部屋全体の色調がゴールドだからでしょうか。

 

写真はありませんが、この国を訪問したVIPの画像も紹介されていました。


ここはUAEの最高決定機関である連邦最高評議会などが開かれる議場。


 

ところで、大ホールの隅の方にはこんなオブジェのような、パネルに囲まれたものがいくつか点在しています。黒い筐体には窓が開いていて、覗きこむことができます。



人が何人も入れるほどの面積の部屋全体が、万華鏡になっています。

 



ちなみにトイレ内もゴールド。


 

外に出たとたん、サウナ状態に。最初に乗ってきたバスでビジターセンターに戻ります。



カスル・アル・ワタン内にもカフェスペースがあるので休憩できますが、時間があるなら近くに「エミレーツ・パレス・マンダリン・ホテル」のカフェはどうでしょうか。金箔入りコーヒーを提供しています。



僕はこのまま中央バスターミナルへ。

プラットフォームにアブダビードバイの時刻表が貼ってありました。20分に1本あるはずですが、どうみても20分以上待ってからやっと運転手がやってきました。もしかして、流れで「なるようになるさ」という精神の土地柄なんでしょうか。ある程度時間に余裕をもって動いた方がよさそうです。



写真の奥がアル・グバイバ行き、手前がイブン・バットゥータ行きです。


復路も2時間弱でイブン・バットゥータ駅に到着しました。よい日帰りの旅になりました。


        おまけ。


水分補給のためにスーパーに駆け込んだところ、大量のポカリスエットが。

さてと、現実に戻って仕事をして涼しい国に戻ります。


2023年7月23日日曜日

アブダビ探訪その2 グランド・モスク

 アブダビ市内の名所と、到着した中央バスターミナルとの位置関係はこのようになっています。



 時間があれば、ルーヴル・アブダビや、アブダビ文化遺産村も訪問したかったのですが、十分な見学時間を確保できそうになく、泣く泣く諦めました。グランド・モスクと大統領官邸「カスル・アル・ワタン」を目指します。中央バスターミナルを真ん中に、モスクも大統領官邸もタクシーで15分ほど、グランド・モスクと大統領官邸は30分です。バスもあるのですが、検索したところ、乗り継ぎや待ち時間を含めると、タクシーで15分の道のりを1時間かけて移動するような行程となることが分かりました。タクシーは主要な観光名所には常に停まっていますし、アプリで呼び出すこともでき、乗車料金も日本と比べると安いです。そして何よりも暑すぎて、路上にいる時間をできるだけ減らさねば。というわけで、今回はタクシーに頼ることにします。
 
ということで、グランド・モスクまでひとっ走り。バスターミナル前に停車していたタクシーに乗りました。メーター制で、この運転手はなぜか現金払いにしてくれということだったので、確か30AEDほど支払いました。うろ覚えですみません。普通はカード払いできます。


 この、タクシーの並んでいる位置で下車します。どうしてもモスクに目が行ってしまいますが、続いて行く先は背後にある、このドームです。


 中に入り、エスカレーターで地下へ下りると、まるでショッピングモールかと思うような場所に出ます。そこを右手に直進すると、突き当りの左側にグランド・モスク訪問のための登録端末があります。スタッフがいるので登録は手伝ってもらえます。見学は無料ですが、出身国などを記入するようになっています。最後にQRコードが発行されるので、これをスマートフォンで撮影しておきます。
 
 続いて、来た道を戻ります。下りてきたエスカレーターを通り過ぎて、反対側の突き当りまで行くと、グランド・モスクの入り口に出ます。ここでQRコードを確認されます。宗教施設なので、服装にも注意の看板が貼ってありました。
 
 続いて、とても長い廊下をひたすら進みます。両サイドにはモスクの写真のほか、歴代の著名な訪問者の写真も展示されていました。エリザベス2世も来たようです。



 進んでも進んでもまだ先があります。タクシーを降りたときに見た入口のドームからあの巨大なモスク本体までの距離を歩いていると思えば、それなりの距離です。
しかし、そんなところに救世主が!



 動く通路はところどころ混雑していたので、普通の廊下を歩いていたら、「お乗りください」と声をかけられました。ありがたく乗車させていただきます。
 
 タクシーを降りて外に出ると、この光景です。



 青空を背景に、白の建物がまぶしいです。そういえば、ドバイの空は、季節的なものもあるのかもしれませんが、雲がなくても常に灰色がかっていたのですよね。いやあ、このコントラストは圧巻です。



 回廊を通ってモスクの内部に向かいます。



 白い柱に石をはめ込んだ植物柄のモザイクが。右側に広がる広場の床やモスクの内部にもこのような装飾が施されています。


 スケールが巨大すぎてフレームに収まりません。




 出口にはまた乗り合いタクシーがいました。先ほどまで撮影しながら時間をかけて歩いてきたルートを一気に戻ることができます。もう一度眺めながらゆっくり歩きたいなら、来たとおりに戻ればいいのですが、やはり外に出ると皮膚がひりひりと焼けます。そして、ご覧のように何もかもビッグサイズ。つまり、見た目以上に歩くと時間がかかり、これが積み重なると次の目的地を見る時間に響きそう。



 というわけで、この乗り合いタクシーと、往路で乗ったものを再び利用して出口まで戻りました。モスクは1時間ほど時間を見ておけばいいでしょう。僕は駆け足での訪問になりましたが、もっとじっくり見たかった。さて、次の場所へ向かいます。
 
 ここに来た時に降車した位置に数台のタクシーが停まっていたので、これに乗り込みました。下車時にカード払いでOKでした。次は30分ほどかけて大統領官邸「カスル・アル・ワタン」へ。

ロシア出入国時の(日本人)指紋採取の開始

大使館より連絡が入りました。 __________ 日本人を含む外国人がロシアに入国及び出国する際の審査において 、 指紋等の個人生体識別情報を採取する措置がモスクワに所在する空 港にて12月1日より先行開始されます。 空港でのロシア入国及び出国手続きの際にはご留意ください。 1...