2019年4月9日火曜日

バイカルへの旅1(氷のバイカル湖とオリホン島)


 オーストラリアAustralia出張のほとぼりも冷めやらぬ間に、次の地方出張を命じられてしまいました。行先はイルクーツクИркутскなのですが、モスクワよりも10度くらい寒いです。真夏のオーストラリアが夢のようです。

 イルクーツクに出張経験のある同僚に様子を聞いていると、業務を兼ねて滞在した冬のバイカル湖がすばらしかったとのこと。しかし、今回の業務はイルクーツク市内のみなので諦めかけていました。すると、モスクワ支店長から、月曜朝にモスクワで出社できるなら自由に戻っていいという嬉しいお言葉が。これであれば、業務終了後、週末を利用してバイカル湖Байкал、そして湖に浮かぶオリホン島Ольхонへ行ってくることができます。

 しかし、何といっても問題は移動手段です。イルクーツク市内からオリホン島まではおよそ260キロ。道路状況を考慮すると56時間はかかります。



 夏はイルクーツク市内からバスでバイカル湖へ行き、船で島へ渡るルートがあるらしいのですが、今は湖が凍っているので車でのみ渡航可能です。それから、移動にこれだけかかるため、現地での宿泊も必要です。この時期はイルクーツク市内からツアーが多数出ていることもあり、今回は現地ツアーに参加するのが良さそうです。

 調べるうちに分かってきたことは、現地ツアーは多数あるものの、最低でも2人以上、最短で5日以上の催行ばかりだということ。どうやら、家族やカップルで訪れて自然をたっぷり満喫するというパターンしか想定されていないようです。確かに、ロシアで一人旅は少ないので、最初から設定していないのかもしれません。そして料金は移動・ホテル・食事つきで2万~3万ルーブル台が多いようです。

 しかし、忙しい現代人の増える中、急遽休みが取れたので一人で突発的に旅行する人もいるはずです。地方都市よりもモスクワの方がそういう需要は高いと思われます。地方の旅行会社よりもモスクワの旅行会社の方が1人でも参加できる短期間のプランを設定しているかもと思い立ち、こちらも調べてみることに。すると、StarTourというところで23日の週末プランがあるではないですか。(注!期間限定での催行のようです。本記事掲載時には、23日のツアーは紹介されていませんでした)

 ホテルのシングルユースの使用料も最初から書いてあって、良心的です。移動費と宿泊費、島滞在中の食費が込みで1700ルーブル。風呂・トイレが共同か、自室内にあるかで料金が変動します。自室内にある方を選択しましたが、これがあとになって大正解だったと分かりました。

 金曜日にイルクーツク空港か駅で現地集合し、バスで移動し、昼食休憩を挟んでオリホン島へ行き、ホテルチェックイン後、徒歩でシャーマン岩を見学。土曜日はフリーですが、追加料金1300ルーブルで現地ツアーに参加して北の岬を日帰り見学。日曜日はイルクーツクへ戻るという行程です。これなら最終便の19:40発のモスクワ行きのフライトに乗れます。金曜日の集合時間が空港か鉄道駅で9:00と早い点がネックでしたが、ツアー会社に相談したところ、遅い時間発のバスもあるし、市内中心部の大型ホテル「アンガラ」でピックアップ可能とのことでした。

 ここまでこちらの都合に合うなら、ぜひ行きたい。モスクワにいる間にStarTourで申し込み、支払を済ませました。この旅行会社は返信が早く、立地も地下鉄クズネツキー・モスト駅から徒歩数分の街中にあり便利でした。
所在地ул. Кузнецкий Мост, д. 21/5, 1 подъезд
(中に入るにはパスポートの提示を求められます)

 注!ただし、ツアーそのものはイルクーツクの現地旅行会社「バイカル・テラBaikal Terra」が実際のオーガナイズをしており、そこのレスポンスが遅いなど、やや対応がいい加減なところがありました。無事に行って帰ってこられればOKくらいの気持ちで行けば問題ないですが、細かいつっこみどころはさまざまあるので、気になる部分は条件を細かく確認することをお勧めします。


 次なる懸念が、寒さ対策です。バイカル湖は、氷から冷気が伝わりますし、風を遮るものがありません。それから氷の上やでこぼこの多い場所を歩く場合もあるので、ウインタースポーツのウェア上下と防水の雪山用トレッキングシューズがあった方がいいとのこと。スキーウェアの上下は同僚が快く貸してくれたのですが、問題は靴です。暖かい靴と言えば、ほかにもロシアの北方地域の先住民が履くウンティУнтыという最強に暖かいと言われる毛皮ブーツや、農村部では今でも現役で使われているフエルトブーツのワーレンキВаленкиという案も出されたのですが、モスクワではそこまで暖かい靴は不要。必然的に売っている場所は少ないですし、あったとしても防寒レベルの面でそれが本当にバイカル湖に太刀打ちできるものなのか分かりません。しかも歩くことを考えると、かかとをしっかりホールドしてくれるトレッキングシューズが一番良さそうです。

 仕事帰りに早速スポーツ用品店でチェック。しかし、冬も終わりかけの店頭には商品があまりないうえに、残っているのは色が派手なものばかり。値段も35007000ルーブルと結構張ります。が、地下鉄サヴョロフスカヤ駅前に大手スポーツ用品店スポルトマステルСпортмастерのアウトレットを発見しました。靴コーナーだけでもかなり広く、色・デザイン・サイズとも豊富でした。価格は3000ルーブル以下でした。スポーツ用品もウェアもたくさん揃っているので、そういったものが必要なときは一見の価値ありです。
所在地:ТЦ "Савеловский", ул. Сущевский Вал, д. 5, стр. 20

 イルクーツクに話を戻すと、ホテル「アンガラ」には中華レストランが入っていて、かなり本格派な料理を堪能できます。オリホン島に行く前の日は、ここで久しぶりの水餃子をたんまり食べて満腹になりました。また、バイカル湖で取れるオームリという淡水魚を冷凍しスライスしたバイカル湖周辺の郷土料理サグダイСагудайとみられる料理(メニューの名称は違っていましたが、調理方法は同じ)もここで食べてみることができました。しょうゆをつけると、これは完全にルイベだなあ。

 金曜日の昼頃、ホテル・アンガラ前でピックアップしてもらいます。18人乗りのミニバンで出発です。

 ひたすら直進します。周りにウシやウマなど家畜を放牧する風景が増えてきました。

 すごい地名を発見。「Кудаクダ」(通常、ロシア語では「どこへ」)。(ちなみに、帰り道の対岸の道路標示は誰かが「?」を書き足していました)


 途中のカフェで昼食休憩です。おすすめはバイカル湖周辺の先住民族ブリャート人の郷土料理、ポーザ(ブーザとも)。ヒンカリやショウロンポウにそっくりです。1000ルーブルを出すと「お釣りがない」と久しぶりに言われました。VISAカードを使用できたので事なきを得ました。


 そういえば、モスクワにはヒンカリ屋=ヒンカリナヤがたくさんありますが、イルクーツクではポーザ屋=ポーズナヤがいたるところにあったなあ。

 さらに進んでいくとバイカル湖に出ました。凍っているので、このまま直進です。道路標識が立ててありました。湖の表面の色が深いです。


 オリホン島に上陸すると、ほとんど雪がなく、枯れた草原のステップ地帯が広がっていました。ホテルのある、島の住民の集落があるフジルХужирまであと少しです。

 ホテルに到着しました。2階建てのコテージで、各階に2部屋あります。室内は暖かく、お湯もちゃんと出ました。タオルやアメニティはないので、持参したものを使います。荷物を置いてから、ガイドつきで近くのシャーマン岩へ。


 オリホン島は年間を通じて晴れの日が多いことから、不思議な力のある場所として先住民ブリャート人の民間信仰の対象となっていました。この土着の信仰はのちに入ってきた仏教と融合し、今でも宗教行事の行われる日には世界中から仏教の僧侶がここを訪れます。ブリャート人社会では土着のシャーマン文化も健在で、何か困りごとがあると相談に行き、アドバイスをもらうのだそうです。

 急ですが、坂を下って湖に下ります。この日は珍しく曇りだったので、夕焼けは見られませんでした。

 平らで広い氷が続くかと思いきや、ところどころひび割れて、たくさんの氷が積み重なって層を成しているところがあります。耳を澄ましていると、氷がきしんだり割れたりする音が聞こえます。

 この日はホテルに戻り、夕食をとって休みました。今回のホテルはコテージが何棟もあるところで、食事のできる棟に行くには一度外へ出なければなりません。そのたびにしっかり防寒しなければならないので外出が億劫になります。僕は風呂・トイレ付きの部屋だったのですが、これが共同の場合、毎回外に出なければいけないそうです。氷点下の中、風呂から帰ってくるなんて酷すぎる。

 翌日は島の北端、ホボイ岬を目指します。その前に出張報告書を仕上げねば・・・・・・

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